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BOOKUMA的おすすめ書籍ランキング

本に関わる仕事をしてます。本たくさん読みます。

ネット・IT近代史を振り返る大型本5冊

ロングテール、フリー等、インターネットでは常識レベルとなっているキーワードもあれば、まだ右のものとも左のものとも判別の付かない「3Dプリンター」などの大きな流れなど、ほぼ「クリス・アンダーソン関連」と言われる向きもあるこれら大型のトピックスについて、まとめてみました。

2006年から2015年まで、このような話題が数年おきにムーブメントを巻き起こしてきましたね。

ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略:クリスアンダーソン,ChrisAnderson,篠森ゆりこ:本

 

気になったレビュー

1.この本の内容の私なりの要約今までは、テクノロジーの限界があり、どうしてもヒット商品しか市場に出回らなかったが、パソコンやインターネットなどのテクノロジーが進歩したことにより、ヒット商品のみならず、ニッチ(少数にしか受けない物の意か)商品も供給でき、かつ消費者もその利益を享受できるようになった。

それは喜ぶべきことである。

ただ、単にニッチがあるだけでは足りない。

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出展
「ロングテール」はAmazonをはじめEコマース事業者、コンテンツ配信事業者にとってはいまや当たり前の理論となっていますが、この書籍が発売された2006年当初、流通革命であったこの概念を丁寧に本書にまとめることでクリス・アンダーソン氏の世界的な知名度が高まります。
当時としては音楽配信やコンテンツ配信もまだその優位性を確固たるものにできるかわからない過渡期であったものの、インターネット時代ならではの市場特性を定義してみせた本書は、数あるレジェンド級の位置づけとなっています。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略:クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明:本

 

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どうして成り立つのか?と疑問だった、フリーの仕組みがよくわかりました。

典型的な形としては、ある人のしていること(例えば面白いブログを書くこと)自体ではなく、それが大勢の関心を集めることがお金になる仕組みです。

人(関心)が集まれば、人が集まったところに市場(いちば)が出来、そこでは色々な人がお金を儲けることができるわけです。

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出展
2009年に刊行された本書は、日本で言えばGoogle、Yahoo、モバゲーやGREEの躍進に対する「なぜこんなに儲かるのか?」という疑問に対する回答でもあり、大変に注目を集めたものです。いまや基本無料のソーシャルゲームは課金プロセスも高度化し、すっかり市場としても膨大なものを提供している「利益モデル」ですが、一方で、無理して無料で提供することで疲弊するプレイヤーも現れていることは創造に容易いなか、引き続き「フリー」の概念をきちんと極めないことには成り立たなくなる産業も増えていくでしょう。
既存の業界に対して「ほぼフリー」で参入し、市場破壊を行いリプレイスを行うような業種もこの当時から増えてきました。往々にして無謀な戦略になちがちのため、このモデルではゲーム以外では資金調達も難しくなっている印象がありますが、本書と似たレイアウトで「リアル・フリー」を謳った脱毛のミュゼ・プラチナムはその筆頭です。
結果的にはゲーム業界は旺盛に需要を伸ばし、脱毛では「任意整理」となっている2015年現在を鑑みると、リアルフリーの世界は、理想はあっても実行のハードルを感じるところでもあります。

シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略:レイチェル・ボッツマン,ルー・ロジャース,小林弘人,関美和:本

 

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ソーシャルネットワーク(SNS)が「共有」という古くて新しい経済活動・人間関係をつむぎだしている、という内容の本。 様々な「共有」のSNSの例が紹介されています。 こんな発想あったのか、とか、こんなものも共有する仕組みがあるのか、と非常に興味深く感じました。

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出展
2010年刊行、クリス・アンダーソン本じゃないのにこのジャンル風な書籍。2010年現在でのSNSの事例がまとまっており、当時で言うと過剰なクチコミなどプロモーション方法の変遷もあった頃。事例集としての側面が強く、読み手の想像力に頼っていると思う面もあるものの、このテーマを論じた本としては基本書になるのではないでしょうか。
しかしながら今日では「SHARE」で各ニッチ業界を攻め切った「クックパッド」「みんなのウエディング」「アットコスメ」等が今のところ勝ち切っていることを見ると、そしてCGMの流れで行くと不動産系の同型メディアなども同様にIPO予備軍であることを思うと、まだまだ実践的な内容であるのではとも思うわけです。

パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ

 

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一言でまとめると、ネットの誕生により、「公」の中に「私」をさらけ出しているのだから「何を見せるか」を考えるより「何を見せないか」の方が重要。

可能な限り(個人・組織問わず)自分をさらけ出す=オープンにした方が、結果、世の中はよく回る。

ということを、アメリカにおける実例をこれでもか!と集めてネットの良い意味での可能性を説いた一冊。

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出展
この中では一番地味で認知度がない本かもしれませんが、2011年に刊行され支持を集めた1冊。こういうネット史的な本は、「ネットが無かった時代、こうであった。」「ネットが生まれて、こうなった!」という論点のあるものですが、「パブリック」ではSNSやブログの活用を行うことでかつてのメディアになかった出来事が起きている、と論じる一冊。「SHARE」は企業のSNS活用方法であるのに対し、こちらは個人のSNS活用方法といってもいいのではないでしょうか。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 
メイカーズのムーブメントは確かにこの本をきっかけにして日本でも着実に広まっております。現在では、少しずつ各所で業務に取り入れられている情報を見聞きしたり、「DMM.make」などの3Dプリンター体験スペースに留まっているものの、3Dプリンターの性能と低価格化を待つだけの状態であることも確か。「21世紀の産業革命が始まる」という副題は恐らく正しく、次の「インダストリー4.0」の流れに受け継がれていくのです。
本の内容としては、流石クリス・アンダーソンさんもMAKERS来るでコレ!と本気になって会社作っているほどですので、こちらはこれまでの「クリス・アンダーソン本」よりテンション高いなーと思ってしまったのは、私だけでしょうか。ウキウキしながら読める本です。

インダストリー4.0-ドイツ第4次産業革命が与えるインパクト

 
MAKERSの流れにIOT(Internet of things)をくっつけたら、第4次産業革命になる!と言われています。それが一時期は「スマート工場」のような表現になったりいろいろと過渡期を経て、ムーブメント的には「インダストリー4.0」とキーワード化されて今日にいたる、といったところ。
そのような中、「インダストリー4.0」の基本書として本書が定着するかはまだわからない段階であるものの、明確なIT近代史(狭義のネット近代史とは少々異なるものの)の最先端であることは間違いありません。